【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】糸に囚われて【part.2】
【前回のあらすじ】
ペンションに到着した松山は、オーナーの稲葉敏朗、宿泊客の金田と挨拶を交わす。
いつもと変わらぬ様子の敏朗に対し、なんらかの隠し事を持っていそうな宿泊客の金田。金田の本当の職業が気になっていたような気がしたが、全然そんなことはなく、松山は、稲葉りり・大志姉弟と話すため、登校時間に合わせて海へ向かうバスに乗る。
稲葉姉弟との楽しい時間
KP「では、7時半くらいにバス停に出て行くあたりから、次のシーンを始めましょうか。」
松山「今作のヒロイン、稲葉りりちゃんがいよいよ登場!」
KP「そうですね。りりちゃんは、結構しっかりした元気な女の子ですから、たぶん松山さんのリアル会話技能だと…まぁ言わずにおきましょう。」
松山「なんですか?すぐに落とせちゃうからつまらないんですか?」
KP「…では、あなたがバス停に向かったところで、見知った顔が二つ見えますよ。」
りり「あ、松山さんだ。おはようございます。」
松山「りりちゃんおはよう!大志も、おはよう。」
りり「ほら、大志もちゃんと挨拶しなさい。」
大志「おざっす。」
りり「今日からご宿泊ですか?」
松山「そうだよ。二人にもお土産を買ってきたから、帰ってきたら渡すよ。」
りり「いつもありがとうございます。」
KP「大志くんは目を輝かせていますけど、すぐにハッとして小さくお辞儀をしますよ。」
りり「それで、松山さんは、また海で女の子に声かけに行くんですか?」
松山「ん!?べ、べつに、そんなんじゃないよ!」
りり「今日こそは誰かつかまるといいですねー(ニヤニヤ」
松山「いや、だから、ただ海に泳ぎに行くだけなんだって!」
りり「さあて、どうなんでしょうねぇ。あ、バス、来ましたよ。」
松山「ちょっとキーパー!なんでりりちゃんナンパのこと知ってるんですか?」
KP「いや、何度も来てて、その都度やってたら、さすがに気づくでしょ。彼女だって海に遊びに行ってたかもしれませんし。」
松山「これは圧倒的劣勢…。」
松山「大志、最近、釣りの方はどう?いいの釣れてる?」
大志「うん…釣れてる。」
松山「最近どんなのが釣れてるの?」
KP「え?わたし、釣り嫌いですから、わかりませんよ。海釣りって、どういうのが釣れるんですか?アロワナとかですか?」
松山「それ淡水魚ですから!」
KP「んー、じゃあ、クマノミとかでいいんじゃないですか?」
松山「熱帯魚は釣れません!イワシとか、サヨリとか、その辺じゃないですか?」
KP「よし、じゃあその辺のが釣れるって言ってくれますよ。」
松山「珍しくシナリオ設計の詰めが甘いですね。」
KP「いや、大志くんちょい役の予定でしたし、このシナリオは舞台を定めてませんでしたからね。申し訳ない。」
りり「この間おっきいの釣ってきてくれたんですよー。」
KP「なんて、りりちゃんが大志くんを持ち上げてくれますね。大志くんはおだてられて調子に乗りそうな気持ちを抑えて、クールぶってます。」
松山「大志にシンパシーを感じる…だと…!?」
KP「おい。」
KP「まぁ、そんなところで、先にあなたの降りるバス停ですね。朝の海辺に到着です。」
松山流ナンパ術?
松山「よし、ナンパしますよ。」
KP「え?んー、これって、判定いります?」
松山「自動成功でしょ?」
KP「は?…では、APP×5でダイスロールをお願いします。」
松山「結局世の中顔かよッ!でもね、僕の手にかかれば、このくらい!」
APP×5ロール → 失敗 ファンブル
松山「どうですか!この安定の実力!」
KP「だっはっは!では、ロールプレイしてみましょうか。」
松山「失敗とわかっていてやるんですか!?」
KP「ええと、めぼしい女の子が目に入りますよ。声かけますか?」
松山「ねえ君、いま暇?」
KP「女性は、あなたの方をいい顔をしてちらりと見やりますが、あなたの顔が視界に入った瞬間に、表情を変え、舌打ちして足早に歩き始めます。」
松山「いま一人なの?僕も一人で来たんだよね。朝の海っていいよねー。まぁ、ほら、ちょっと、そこまでお話ししようよ。」
女性「うざい。」
松山「え?」
女性「気持ち悪いから近寄らないで。」
松山「はぁ?」
KP「と、言い残して女性は去っていきますよ。」
松山「ちっくっしょう!所詮顔かよ!顔で全てが決まるのかよぅ!」
松山「いや、いまのは相手が悪かったんです。次行きます。」
KP「え?続けるんですか?基本的に判定は一回だけですから、いくらやってもあとは失敗ですよ?」
松山「でも、判定を変えればいいんですよ。ええと、女子大生風の頭のユルそうな二人組を探して、〈目星〉を使います!」
KP「なんて無駄な技能行使!」
〈目星〉ロール → 失敗
松山「救いはないのか!」
KP「では、合宿の朝練に励むボート部の筋肉質な学生たちの掛け声が気になってしかたがなくなり、あなたはめぼしい女性を発見することができません。」
松山「ちくしょう…ちくしょう…ダメだ…こんなんじゃダメなんだ…。もう一回だけ…もう一回だけ〈目星〉を…。」
KP「しょうがないにゃぁ。」
〈目星〉ロール → 失敗
松山「…。」
KP「…。」
KP「では、あなたは一人の女性を発見しますね。なかなかいいスタイルをした後ろ姿につられて、あなたは声をかけるでしょうね。」
松山「こんにちはー、いま暇ですか?」
女性「あら、暇ですよ?どうかされました?」
KP「と、あなたが顔を覗き込んでみると、若作りした四十路の女性ですね。しかも、はっきりと若作りしたとわかる感じの。」
松山「うわー、これ、台湾あるあるのやつじゃないですか…。」
松山「いえ、あの、海の家ってどっちにあるんでしたっけ?」
女性「ああ、あちらですよ。なんなら、案内しましょうか?」
松山「いえ、結構です。自分で行けますから。」
女性「そんな遠慮しなくてもいいですよ。」
松山「いえ、ただ道を聞こうとしただけですから。」
女性「私もそちらに用がありますk」
松山「いいえ、お先に失礼します。」
松山「……もう一回だけ…もう一回だけチャンスを…。」
KP「よかろう。やってみたまえ。」
〈目星〉ロール → 成功
松山「やったぜ!」
KP「では、ちょうどあなたが言っていたような、女子大生風の女性二人組を発見しますよ。」
松山「ねえ君達、二人で海に来たの?」
女性1「はい、そうですよー。」
女性2「…。」
KP「では、APP×5ロールを…」
松山「いや、ここは有名人パワーを使いましょう。どっちかが私のことを知ってませんかね?」
KP「こすいなぁ。」
〈知識〉ロール → 片方成功
KP「応答しなかったほうが知ってたみたいですね。」
女性2「あれ?ひょっとして、松山さんですか?」
松山「あれ?そうだよー、なんで知ってるの?」
女性1「松山?誰?知り合い?」
女性2「ほら、最近テレビによく出てる人だよ。」
女性1「えーっ、それって、芸能人ってことですか!?(目キラキラ」
松山「いや、そんな、僕なんて、偶然出してもらってるだけだからさ(キリッ」
女性2「でも松山さんがこんなところで何してるんですか?」
女性1「もしかして、もしかして、撮影とかなんですか!?」
松山「いや、今日はオフなんだよ、本当はさ、戸棚エリカちゃんとかと一緒に来る予定だったんだけど、スケジュール合わなくって。」
KP「芸能人と親しいことを押していくスタイル。」
松山「それしか武器がねぇんだよぉ(泣」
女性1「きゃーすごーい。芸能人に会えるなんて、よかったね、ミキ!」
ミキ「はしゃぎすぎ。すみませんね、松山さん、ミーハーな子で。」
松山「うおぉぉぉっ、なんだこれは!女の子と話せている!なんだこれは!」
KP「おい、全部わしの演技やぞ。」
松山「だまれぇい!いま僕は女の子と話してるんだ!そうだ、いまもう昼くらいですよね?」
KP「そうですけど?」
松山「君達、もうご飯食べた?」
女性1「まだですよー。一緒にご飯行きましょうよ!戸棚エリカちゃんのこと教えてください!」
ミキ「いいんですか?」
松山「じゃあ一緒にご飯食べようか。」
松山「よし!やったぞ!僕はやり遂げたぞ!」
KP「…まだ入り口にもたどり着いてへんやろ。」
松山「…?」
KP「いや、なんでもありません。それで、一緒に食事するんですよね?」
松山「もちろん僕のおごりでね!海辺の食事処くらいあるでしょ。」
KP「ええ、ありますよ。それで、撮影時の様子などを話して興味を引いて、食事を終えますね。さて、どうしますか?」
松山「そりゃあ、もちろん…もちろん…。」
KP「どうしました?」
松山「ここから先のビジョンが、何一つ浮かばない!」
KP「ぶっ!」
松山「どうしよう!まさか自分でもこうなるとは思わなかった!ナンパして、一緒にご飯食べたら、どうしたらいいんですか?人気のない岩場にでも連れて行けばいいんですか!?ホテル行こうよとか言えばいいんですか!?」
KP「んなわけあるかい!」
松山「ダメだ!何一つアイディアが浮かばない!どうすればいいんだ!何をするんだ!ナンパって一体なんなんだ!」
KP「……ダメだこいつ。」