【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】忘却の結末【part.13】
【前回のあらすじ】
滝原と協力して事に当たることになった伏原。夢世界での探索の方針を得たほか、木ノ宮神社という山間の神社の存在を知る。早速木ノ宮神社に参拝した伏原は、今日もハルカと和やかな時間を過ごすのだった…。
…おい、クトゥルフしろよ。
寝る前の状況整理
KP「というわけで、ホテルに帰ってきた、と。」
伏原「その前に、浅原で聞き込み調査をやりたいんですけど。」
KP「このご時世に聞き込み調査ですか?一般人が?」
伏原「まあまあ。」
KP「では、幸運でロールしてください。」
〈幸運〉ロール → 失敗
KP「では、ただの道行く人なら出会える事にしましょうか。」
伏原「あてずっぽうに聞いたところで、私や滝原さんより知っている人に出会えるわけじゃないですよね。」
KP「当然でしょう。それで、何を聞くんですか?」
伏原「鬼子について、聞いてみたかったんですけど、望み薄ですね。」
KP「いいトライだった、とだけ言っておきましょう。」
伏原「でも、あと探索してないって言ったら、歴史博物館くらいじゃないですか?」
KP(何を根拠に…)「今出てきているところでは、それくらいですね。」
伏原「ハルカちゃん、明日、歴史博物館行こうか。」
ハルカ「歴史博物館?うん、私あそこ好き。」
伏原「でも、滝原さんが監修していて、語り部の人より知ってるって言ってたな…。」
KP「ええ、確かに、滝原さんはそう言っていましたね。」
伏原「なら、もう得た情報を重ねて得る事になるだけでしょう。」
ハルカ「行かないの?」
伏原「滝原さんの判断を待ちますか。でも、そうなると、明日の昼にやる事がないな…。」
KP「今日はまだ寝るには早いですし、早寝して、滝原さんからの返信をうけて、朝に決めたらどうですか。夢の行動は決まっていますし、そこで何か得られるかもしれませんよ?」
伏原「そうですね。とりあえず、まだ早いですけど眠りましょう。」
夢の大間々、八宮神社
KP「では、今日は村の方で目をさますんですよね。」
伏原「はい。それで、八宮神社に行って、上毛野の変化したやつに会う、と。」
KP「なるほど。では、早めの睡眠になりますが、目的があるので頑張って眠ったことにしましょう。そして相変わらず真っ赤に染まった世界の只中で、あなたの意識は覚醒します。」
伏原「ハルカちゃん、今日は八宮神社に行くけど、いい?」
ハルカ「嫌だけど…。行かなきゃいけないの?」
伏原「うん。でも、滝原さんも大丈夫って言ってたし、前に行ったこともあるんでしょ?」
ハルカ「おにーちゃんの後ろに隠れてるね。」
伏原「それでいいよ、安心して。」
KP「さて、八宮神社ですが、これまでに見てきた神社より、少しは大きな神社ですね。まず、祠ではなく、ちゃんと拝殿があります。さらに、鳥居から拝殿までの、小さな参道まで存在していますよ。」
伏原「なるほど。さすがは赤城神社の系列。」
KP「さて、あなたが八宮神社に脚を踏み入れると、そこに和装の男性が目に映りますね。」
伏原「体に異常なところは?」
KP「いえ、この時点では、見当たりませんね。」
伏原「あれ?」
男「おやおや、こりゃあ、人間さんじゃございませんか。それに、そちらは、『とおとふたつのかみ』ときている。こりゃあ、つまり、迎え人のご参拝ということですかな。」
伏原「こんなところで、人間にお会いするなんて、信じられません。あなたは、どちらさまですか?」
男「ああ、申し遅れました。私はこの八宮神社を守っている、上毛野利孝と申します。」
伏原「この夢の大間々にも、信仰があるんですか?」
KP「と、あなたが安心して質問を始めたあたりで、上毛野利孝の額に横に裂け目が通り、そこにもう一つの眼が現れます。」
伏原「ひえぇっ。」
SANチェック → 成功 減少なし
KP「相変わらずの鋼メンタルですね。」
上毛野「いえ。ここは、なんと申しますか、監視所みたいなものです。あるいは、交流所と申してもいいのでしょうか。」
伏原「監視って、鬼たちをですか?」
上毛野「はい。私はその昔から、ここで鬼たちが暴れたり、現の世界に飛び出そうとしたりしないよう、監視を続けているのです。」
伏原「ここの神様は、豊城入彦命だったと記憶していますが、間違いありませんか?」
上毛野「はい。確かに、豊城入彦命さまをお祀りしております。しかし、迎え人にとって、この神社は無用の土地。まずは十二神社に向かわれてはいかがでしょう?」
伏原「ええ、十二神社には、もう訪れましたよ。そうだ、それより、この辺りで経津主神は見かけますか?」
上毛野「そのご様子だと、迎え人に選ばれてすぐ、というわけではなさそうですね。経津主神ですか。ええ、たしかに、ごく稀にですが、お見かけすることがありますよ。」
伏原「率直に言って、経津主神とこの神社は、どういう関係なんですか?」
上毛野「それは難しい質問ですね。あるといえばありますし、ないといえばありません。実に中途半端なものです。あちらもあまり良くは思っていないのでしょうが、今のままでもわりと安定しているので、気にもしていないのでしょう。」
伏原「…よくわからないんですが、つまり、かつて戦ったけれど、今は停戦中、ということですか?」
上毛野「いえ、まあ、あまり余計なことに首を突っ込んでしまいますと、あなたが経津主神の怒りを買ってしまいますから。この辺で。迎え人は迎え人としての務めを果たしさえすればいいのですから。」
伏原「んー…このシナリオでは初めての気難しい人か。この人は一応、夢の世界でのいろいろについて知識があるってことは間違いなさそうですね。」
KP「正直、こんな後半で初登場になるとは思いませんでしたけど。」
伏原「たしかに、敵ではなさそうなんですが、いったいどういう情報を聞けばいいのかわからないので、なんとも言えないですね。」
KP「そうですね…ここで一つヒントをあげましょう。」
KP「『歴史的にどう伝えられているか』ということと、『クトゥルフ的にどう考えるべきか』は全く違います。そして、考えるべきは、歴史的伝承のクトゥルフ的解釈です。クトゥルフ的解釈こそ、現実に起こったことだ、というのが、このシナリオ、ひいてはクトゥルフ神話TRPGの大前提ですから。」
伏原「なるほど…。では、ここで引き下がらず、上毛野さんに聞いてみましょう。」
伏原「豊城入彦命は、経津主神と戦ったんですか?経津主神を打ち破る方法があるのではありませんか?」
上毛野「…。いえ、そのようなことをここで考えるのは危険です。今はまず、自らの務めを優先してください。余計なことを考えれば、経津主神があなたの滞在を認めないかもしれませんから。」
上毛野「とにかく、深入りしすぎないことです。注意してください。それでは、私はここで…。」
KP「上毛野利孝さんは境内の奥に姿を消していきます。」
伏原「またダメだったか…。」
KP「あいつは話を聞かないからな。」
伏原「ネタが古い。」
急展開の始まり
KP「さて、あなたが目覚めると、滝原さんから興奮気味のメールが昨日の夜付で寄せられていますね。」
From:滝原馨
To:伏原竜覇
これですよ、伏原さん!きっとそうだ、間違いない!
木ノ宮神社にあるんですよね?そういうことなら、わたしも明日、早速これを調べに行ってみます。私の仮説が正しければ、あるいは…。いえ、仮説なので止しておきましょう。
今夜八宮神社に行ったら、上毛野利孝によろしく言っておいてください。私たちが経津主神を殴り飛ばして、ギャフンと言わせてやるから、と。
なんにせよ、明日、もしもご都合よろしかったら、木ノ宮神社で会いましょう。
それでは、夢の世界へ、よい旅を。
伏原「何か思い当たる節があったみたいですね。」
KP「どうしますか?伏原さんも木ノ宮神社に乗り込みますか?」
伏原「どうせ今日することもありませんから、行ってみましょう。」
KP(…かかったな、小僧!)
KP「では、車で木ノ宮神社に到着したところで、〈幸運〉ロールをお願いします。」
〈幸運〉ロール → 成功
KP「では、木ノ宮神社には誰の姿もありませんね。」
伏原「あれ?滝原さんいないな。」
KP「しかし、神社の拝殿が開けられていますね。」
伏原「例の像は残っていますか?」
KP「はい。残っていますよ。」
ハルカ「おにーちゃん、それ、私にも見せて!」
KP「と、ハルカがねだりますが。」
伏原「自分でもちょっと触ってみますけど、何も変なところはありませんよね?」
KP「〈目星〉で。」
〈目星〉ロール → 失敗
KP「あら珍しい。」
伏原「ハルカちゃんに手渡します。」
〈目星〉ロール → 成功
ハルカ「おにーちゃん、これ、昨日と口が逆だよ!」
伏原「口?開いてる口が逆ってこと?」