【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】忘却の結末【part.09】
【前回のあらすじ】
夢の世界には、おぞましい姿へと変貌した鬼子の成れの果てが、確かに存在した。鬼子を山におさめれば、鬼子は変貌してあのような姿になるのだろうか…。
謎が深まる中、ハルカと連れ立って、伏原は十二神社に参拝する。そこはほとんど忘れ去られてしまったような、寂しげな神社だった。お参りを済ませた伏原が図書館へ赴き、発見した本には、古代から中世に移り変わる日本で起こっていた、鬼信仰と仏教思想との交代劇が指摘されていた。
伏原が信じてきた歴史は、現実は、世界は、本当の姿をしていたのだろうか?深まる謎に立ち向かうべく、伏原は次の行動を開始する。
歴史の中の鬼子
伏原「つまり、時代は三つに分けられることになります。」
KP「ほう。整理してみてくださいな。」
伏原「まず、縄文から弥生に至って、鹿神が信仰され始めた時代です。この状態で、東国を征伐するために、トヨピーこと豊城入彦命が派遣されています。」
KP「うん。」
伏原「これで、髪の毛一派こと上毛野氏が東国を治めます。この統治期が二つ目の時代です。」
KP「うんうん。」
伏原「そして、この上毛野家が仏教陣営に再び攻撃を受けることになります。それが平安時代の中頃か末あたり。以降、鎌倉時代ではむしろ東国こそ日本の中心になります。」
KP「そしてその頃に…?」
伏原「唐突に『鬼子』の伝承が登場している。そして、目の前にはハルカと、沙紀ちゃんという鬼子が現に存在している。」
KP「これらのことが意味するのは…?」
伏原「…わかれば苦労しませんよ。でも、はっきりしたのは、トヨピーを祀った赤城神社や八宮神社が、完全に鬼陣営と敵対しているわけでもない、ということですね。」
KP「なるほど。」
伏原「たぶん、一度戦ってはいるんですけど、その後なあなあでうまい関係を作り上げているはずです。一応、上毛野家について、本を調べてみますよ。」
〈図書館〉ロール → 成功
KP「では、次の情報が手に入りますね。」
上毛野氏と物部氏
上毛野氏は、東国を征伐した豊城入彦命を氏神とする一族。ただし、一枚岩の士族というわけでもない。有力な上毛野氏のうち、西部のものは、明らかに大和政権の物部氏との関係を持っている。
KP「もちろん、鬼とどんな関係を持っていたか、なんて情報は、歴史書には残されていませんから。」
伏原「物部氏…さっき仏教陣営として言及されましたね。まさかそこもシナリオに関係してくるのか…?」
KP「さあ、どうなんでしょうね。」
伏原「とりあえず、鹿神信仰について、昨日の本を調べてみましょう。」
KP「では、次のことがわかります。」
神使としての神鹿
鹿は、藤原氏の氏神である、建甕槌命(タケミカヅチノミコト)が騎乗して現れたことから、神の使いとして崇拝されている。現在でも、春日大社や鹿島神宮、厳島神社などにその信仰が残されており、境内で鹿が飼われていることがある。
伏原「…嘘だろ?」
KP「どうしました?」
伏原「いや、物部が関係しているかと思ったら、藤原も関係してそうということに、驚きを隠せない。」
KP「情報量半端ないって言ってあったでしょう?シナリオ開始前には嘘はつかないのが私です。」
伏原「うーん…今日はこの辺で帰りましょうかね。時間も結構経ったことでしょうし、ハルカちゃんも退屈するでしょうから。」
KP「そうですね。では、17時前ということにしましょうか。」
伏原「はあ…先が長いな。」
KP「だから沙紀ちゃんを拉致すれば…」
伏原「それはやりませんよ。」
美味しいものが食べたい!
KP「ハルカちゃんがお腹減って仕方がないようなので、何か食べさせてあげてください。」
伏原「ハルカちゃん、何食べたい?人の肉とか?」
KP「おい(笑)」
ハルカ「うーん…美味しいもの!」
伏原「それ、一番困るやつや…。」
ハルカ「何かないのー?」
伏原「…よし、ラーメンを食べよう。」
ハルカ「いーよ!ラーメン食べるー!」
伏原「はぁ。それにしても、わかんないなぁ。ハルカって、何のために大間々に来たの?」
ハルカ「ラーメン食べるためー!」
伏原「この子、この調子なんだもんなぁ(苦笑)」
伏原「前の人たちは、どれくらいでお別れしたの?」
ハルカ「『前の人』はねぇ、あんまり相手してくれなかったから、一週間とちょっとで、お母さんが怒っちゃった。」
伏原「神様に持ってかれたのか…私の余命もあと13日…。『前の前の人』は?」
ハルカ「滝原さんはね…えっと、4日?」
伏原「早いな。」
ハルカ「滝原さんはすごく頭がよかったよ。でも、あんまり美味しいもの食べられなかった。お詫びに袴もらったんだけど。」
伏原「あー、あの袴ね。変態だな。」
KP「〈アイディア〉ロール振ってもらえます?」
〈アイディア〉ロール → 成功
KP「あなた、今日、滝原って名前、目にしてますね。」
伏原「え?…(メモを見返す)…あ!いた!滝原馨!あの専門書の著者!そりゃ頭もいいし、4日で終わらせられるはずだわ…。」
KP「だいぶ疲れてきてますね。」
伏原「問題の根が深すぎるんですよ。」
KP「だったら、諦めればいいんです。子供をさらいましょう。」
伏原「だってリプレイにされるから!かっこよくプレイしたいんですよ。」
KP「それも立派なプレイですよ(苦笑)」
滝原と接触を試みる
伏原「本の著者になってるってことは、所属とかわかりますよね?」
KP「はい。名前と本のタイトルで検索すれば、彼が明治大学の教授だということがわかります。」
伏原「うわー、本物の頭いい人だった。連絡先は?」
KP「はい、研究室のメールアドレスが公開されていますね。メールしますか?」
伏原「もちろん。こんな込み入った情報、素人が立ち向かえるレベルじゃない。」
From:伏原竜覇
To:滝原馨
滝原馨先生
急なメール失礼いたします。
私、普段は俳優をやっている、伏原というものです。
現在、休暇を過ごそうと大間々を訪れているのですが、そこでどうやら、あなたと同じ問題に巻き込まれてしまったようなのです。
もしよろしければ、この問題の解決のために、ご協力をいただけないでしょうか?
どうかよろしくお願い申し上げます。
伏原竜覇
伏原「こんなものでしょう。」
KP「あえて核心は書かないんですね。」
伏原「逆にこの方が、問題の性質を知っている人っぽいでしょう。」
KP「では、ラーメンを食べて、そのメールを送って、ホテルに帰りましょうか。」
伏原「あ、今日は早めに眠ります。」
KP「では、これまでに得た情報の整理のためにしばらく頭を抱えて、9時過ぎには寝たことにしましょうか。」
3度、夢の中
KP「さて、目が覚めようとします。またしても世界は赤く、風も吹かない奇妙な世界。しかし、あなたは目が醒める直前に、直感的に理解します。街中に目覚めることも、夢の中の十二神社で目覚めることもできそうだ、と。」
伏原「お!そんな機能が!なら、十二神社で目覚めましょう。」
KP「では、あなたが目覚めると、現実のものよりは、ほんの少しだけ綺麗に掃除された、石造りの祠が目に入りますね。」
伏原「夢の中では石なのか。」
KP「そこで、ハルカが饅頭を拾い上げてパクリと食べながら、あなたの方を振り向きます。」
伏原「お、本当にお供え物は届くんだ。」
ハルカ「そうだよ。でも、突然なくなったらみんな驚くでしょ?だから無くなりはしないの。こっちでは、お供え物の気持ちだけ、食べられるんだよ。」
伏原「それは美味しいものなの?」
ハルカ「うーん…美味しいのも、不味いのもあるよ。今日のこれは…実際のお饅頭ほどは美味しくなかったかなぁ。」
伏原「棒は?」
ハルカ「これ?でも、気持ちしか触れないからね。それに、これは私のものなのです。」
KP「ハルカちゃんが手にとって、適当にブンブン振り回しますよ。」
伏原「あー、なるほど、そういうことか。困ったな。いらないんじゃなかったの?」
ハルカ「やっぱりいるー。あとで貸してあげるね!」
伏原「あー、やられたなぁ。愛用の乳切棒(脳漿付き)が…。」*1
KP「その追加効果みたいな言い方やめて(笑)」
伏原「この棒こそ、私の頭脳(物理)ですから。」
KP「他人の脳でしょうが。それはいいとして、ハルカちゃんが思い出したように祠の中を手で探って、一枚の紙を差し出しますね。何か書いてあります。」
鬼子を納めなければ、自らが犠牲になる。注意されたし。
伏原「もう大体覚悟してましたよ、こんな情報。」
ハルカ「それ、滝原さんが、次の人から見せてあげなさいって。」
伏原「ほう、滝原さん、ただの変態じゃなさそうですね。」
*1:リプレイ「アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?」を参照