紙芝居動画のノウハウ一気読み【MacユーザーでもTRPG動画が作りたい!】
昨日、ようやく、本当にようやく、「アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?」のPart1の編集作業を終えることができました。
完成した動画のアップロードは、7月26日に、ニコニコ動画での公開を予定しています。
それまでに、順次次パートの作成を進め、7月31日までに全パートのアップロードを済ませる予定です。
さて、先日公開した、こちらの記事。
ここにおいて、Macで動画を作ることの困難をことさらに強調してみましたが、結果からいって、私にも動画が作れてしまったわけです。
というわけで、TRPG動画をMacで作るためのノウハウを、この記事に全部まとめてしまおうと思います。
1.「構成要素の分解」という発想
動画を作成するにあたって、一番初めに理解しなければならないのは、「動画はパーツの集合である」ということです。
いくらなんでも、頭から順番に、動画そのものを一気に作ってくれるような、便利ソフトウェアは存在しません。ですから、動画を構成要素に分解する必要があるのです。
というわけで、2分くらいで作った模式図です。
これらの各要素を、自分の納得いく形であつめて、結びつける作業が、動画作成という作業です。
2.紙芝居映像部分の作成
TRPG動画の場合、メインはとなるのが、登場人物たちの会話である、紙芝居パートです。
Macでこれを作成する場合、プレゼンテーションソフトを使うのが最も手っ取り早いです。
Macのプレゼンテーションソフト、Keynoteを起動したら、「新規>ワイド>ホワイト」と選択して、編集を開始しましょう。
背景素材の採集
まず、場面別の背景を選びましょう。
自分で写真素材を撮影している奇特な人物でない限り、背景画像素材はいつでも不足しているはずです。
そうした方のために、ニコニコ動画では、ニコニ・コモンズというサービスが提供されています。
この中には、ニコニ・コモンズ対応サイトでのみ利用可能な素材も多いため、素材の扱いには注意が必要です(今回の解説記事も、この点への配慮のために、サンプル画像を利用することができません、あしからずご了承ください)。
他に、私がお世話になっているサイトとしては、photoACさんと、無料写真素材さんと、写真素材足成さんあたりの素材を使っています。詳しくは、私が投稿した動画のエンドロールで表示されるので、そちらをご覧ください。
こうした無料写真素材を利用するのは、まずロイヤリティーの問題に間違いなく対応している素材を使うという、配慮のためです。画像や音楽を無断で利用することは、原則として不当な行為です。クレジット表記はもちろん、可能な限り使用許諾をもらうようにしましょう。
セリフ枠・立ち絵の選択
セリフ枠についても、ニコニ・コモンズ内にたくさんの素材が用意されています。お好きなものを選んで、採用しましょう。
一方、立ち絵素材ですが、これが一番苦労させられる素材と言っていいでしょう。
自分でキャラクターの絵をかける場合を除いて、自らのイメージに合ったキャラクターの立ち絵を用意することはまず不可能です。
場合によっては、画像素材を販売しているサイトで、有料のものを購入する必要があります。その場合には、利用条件などにしっかりと目を通し、どの範囲で使用して良いのか、把握しなければなりません。
なお、今回の私の作品では、ミーミルの立ち絵を購入しています。
配置する
これらの素材が揃ったら、順に画面にドラッグして、配置してみましょう。
背景の色彩が濃すぎて立ち絵を食ってしまっている場合には、背景の透過度を上げる処理を行うだけで、見栄えが良くなります。
keynoteの基本操作はここでは省略しますが、スライドごとコピーアンドペーストするなど、操作をできる限り簡略にするよう、常に工夫を心がけましょう。
会話は一枚に一セリフ
おそらく、一枚のスライドに一つだけのセリフを配置する方法が、最も作業効率が高いと思われます。
背景・セリフ枠・立ち絵の配置が終わったら、名前の部分とセリフの部分に「名前」「セリフ」とだけ書いたテキストボックスを配置しましょう。
そのうえで、立ち絵の非透過度を60%程度まで下げ、そのスライドを十数枚コピーします。
用意が終わったら、それぞれのスライドに、順にセリフを書き込んでいきましょう。
セリフ話者の立ち絵だけ、非透過度を上げてあげれば、誰が話しているのかわかりやすくなります。
3.画面録画を有効活用する
通常のスライドショーと同じように、スライドを再生できる状態まで仕上げれば、その画面を収録しましょう。
MacにはデフォルトでQuickTime Playerがインストールされています。
これを起動して、「ファイル>新規画面収録」を選択すれば、画面の内容を動画として記録することができます。起動後、録画ボタンを押して、スライドショーを再生し、収録を停止してください。
これで動画ファイルとしてスライドショーを記録することができました。
画面収録さえあれば、スライドショーをいつでも動画ファイルに変換できます。
ただし、このとき、まだ音声やBGM、効果音などはつけません。
注意するべきなのは、iMovieで編集するときに、動画や画像は二つまでしか重ねられないということです。
一方で、音声ファイルはいくつでも重ねることができます。
したがって、スライドショー内で、字幕やセリフ枠、感情エフェクトや習得アイテムなど、ほとんどすべての画面上の構成要素を画面収録の段階で掲載しておく必要があります。
また、スライドショーの表示時間については、基本的に気にする必要はありません。iMovieの機能として、フリーズフレームを追加したり、再生速度を加減速することができるからです。
4.構成要素を重ねる
ここまで用意が終わったら、次は構成要素をiMovie上で重ねていくことになります。
構成要素を「読み込み」からiMovie上に取り込んで、動画のタイムラインを順次構成していってください。
私は、この作業の段階で、Yukkuroid音声を合成していきました。その方が、セリフとのズレ防止や、不必要なセリフの削除などに対応しやすかったからです。
ここでちょっとした技術なのですが、画像同士を重ねる際には、二つの方法を利用することになります。
まず、「ピクチャ・イン・ピクチャ」という表示スタイルでは、動画全体の内側に、小さなウィンドウが配置され、その中にもう一つの動画が重ね合わされるスタイルになります。つまり、動画フレーム内にもうひとつの四角いフレームが配置され、その中に動画・画像が表示される、というスタイルです。
カットインや、解説映像の追加など、こちらの用途も非常に多く、有効活用する必要があります。
もう一つの方法は、「ブルースクリーン」というもので、前景に配置される素材の特定の色だけを透過して配置するものです。いわゆる合成画像ですね。
これを使えば、二つの動画映像を合成することができます。たとえば、炎とか、血飛沫とか、レンズが割れるエフェクトとか、そういうものを前景に配置した上で、背景を透過することができるのです。これによって、割れたレンズの向こうにもうひとつの動画を継続して再生することが可能になります。
5.まとめ
つまり、TRPG動画をMacで作成する場合、手順は以下のようになります。
①素材を集める
②keynoteで紙芝居を作る
③QuickTime Playerでスライドショーを録画する
④iMovieに取り込んでカット編集をする
⑤Yukkuroidなどで機械音声を当てる
⑥iMovie上で、こだわりの編集操作を行う
⑦動画をアップロードする
以上ですね。
もちろん、この前の段階で、オリジナルシナリオを執筆して、それに基づいて一度プレイする、という手順が必要になります。
ちょっと駆け足になりすぎたので、今後、それぞれの手順について、解説記事を書いていこうと思います。
Macユーザーで、なおかつTRPG動画をアップロードしたいなんていう人は少ないのかもしれませんが、私と同じことで悩んでいる方がいたら、今後ともご参考になさってください。