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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.14】

【前回のあらすじ】

物語は後半戦!ひたすら続いた情報収集が終わり、神主・刑事・斎藤・望美、それぞれと連絡を取る。

伏原は怪異の解決には幽体離脱が重要な役割を果たすことを看破した。二人を待ち受けるものは、生か、死か?

 

 

侵食は続く

KP「ここで、先に佐々木さん。」

佐々木「はい?」

KP「症状進行のお知らせです。」

佐々木「ああ、そうか、そんな時間か。」

 

KP「あなたの左肩のこげ茶の腫瘍ですが、それがついに腕にまで進行し、あなたの右腕が動作しなくなります。これによって、利き腕の使用ができなくなるほか、反対の腕を使った動作にもバランスが取りづらくなり、-10%のペナルティが生じます。」

佐々木「いよいよやばいね。」

KP「さらに、常にあなたの体をキリキリとした痛みが襲います。すでに怪異の正体を知ってしまったあなたにとって、この痛みはほかならぬ死の予感を覚えさせることでしょう。ここでSANチェックです。」

SANチェック成功 減少値 1

KP「なかなか減少しませんね。」

佐々木「いや、結構削れてきてますよ。」

KP「続いて伏原さん。」

伏原「これ以上ひどい事態が起こるって言うんですか!?」

KP「幸運ロールを行ってください。」

〈幸運〉ロール→成功

KP「では、今日の症状悪化はありません。」

伏原「あー、よかった。」

 

だいだらぼっち?

KP「では、伏原さんの行動ですが。」

伏原「クトゥルフ神話技能でだいぶ分かっているんですけど、念のため、だいだらぼっちについて調べますよ。」

KP「〈図書館〉ロールをお願いします。」

〈図書館〉ロール(-10%)失敗

伏原「うーん、ペナルティがなぁ。でも、これは特に必要なかったので。」

KP「では、調査してみましたが、『0から始めるエクストリームアイロンがけ』という本が気になって仕方がありません。」

伏原「『エクストリームアイロンがけ』なら仕方がない。」

 

 

元担当刑事 尾形俊道

KP「そのころ、佐々木さんが赤羽駅に到着して指定された喫茶店へ到着しています。佐々木さんが店内を見ると、奥の壁際の席に、テーブルに新聞を置き、その上でもう一つの新聞を読んでいる白髪交じりの男性がいますね。」

佐々木「尾形さん、ですね。」

KP「そう呼びかけると、その男は視線だけを佐々木さんの方に向け、新聞をたたむと、次のように応じます。」

尾形「あんたが詐欺弁護士さんか。」

佐々木「その節は、失礼いたしました。」

尾形「いや、一度騙してくれた方が、今は騙されていないという保証になる。それで、あんたはどこまで知ってるんだ?」

佐々木「今知っている情報を説明します。」

尾形「…なるほど。それじゃあ、現場の状況は知らないんだな。」

佐々木「ええ。調書をチラッと覗きはしましたが、そこまで詳しくは。」

尾形「…俺も、あんたの言う通りだと思っている。この件には、怪異が関わっている。」

佐々木「なぜそう言えるんです?」

尾形「話せば少し長くなるな。」

佐々木「聞きましょう。コーヒーを買い足しましょうか?」

尾形「ありがとう。いただくよ。」

KP「コーヒーを追加して、それを一口すすると、尾形は話し始めます。」

 

尾形の見たもの

「あの事件は、集団パニックなんてものじゃない。あんたの言う『夢蛭』が、人を操って、殺し合いをさせたんだ。そのくらいのことは、あんただって想像できてたんだろう?現場を見た者にしてみれば、集団パニックなんて言葉が、どれだけ便利なのか、思い知らされたね。あんなものは、殺し合いですらない。実験だよ。

一人がチェーンソーで体を深く傷つけられ、それをやったと思われる男は、自分でそのチェーンソーを自分の頭に押し付けて、頭を砕いてやがった。他の一人は、足を材木で抑えて、その上をフォークリフトで念入りに押しつぶされている。そして最後の従業員は、作業場の大型ノコギリに自分から突っ込んで、体が粉々に飛び散っていた。一人だけましな死に方をしていたのは、外人の不法就労者だ。マシといっても、頭は木材の破砕機で完全になくなっていたがね。

そして、ここからなんだよ。残りの二人だ。残りの二人は、背骨が完全に飛び出ていた。あんな芸当は、人間にはできないね。それが『夢蛭』ってやつの飛びでた跡だっていうなら、俺も納得できる。これだけでも、俺にとっては、信じがたい凄惨な現場だった。

でも、それだけじゃない。この事件はそれだけじゃないんだ。俺の部下、後藤といったが、その後藤が、実況見分の後、麓の境町で聴取をしていたときに、急に発狂した。後藤は拳銃を引き抜いて、俺の肩を撃った。俺もすぐに応戦して、脇腹を打ったんだが、おかしいんだよ。人間、腹を打たれたら、少しくらい顔がゆがむし、姿勢が歪むし、手で抑えようとするはずなんだ。しかし、そうはならなかった。“やつ”は焦点を失ったような目をしたまま、再び銃を構えて、全弾を俺に向かって撃ってきたんだ。

あれは断じて後藤ではなかった。あの目は、あの姿は、すでに人ではない何かに違いなかった。俺はもうパトカーを盾にしていたから、なんともなかった。そのあたりで、同行していた他の警官が飛びついて、“やつ”を抑え込んだ。

そしたら、何が起こったと思う?それは俺の目の前で起こったんだ。急にね、背骨が飛び出してきたんだよ。ベキッとか、メキッとか、そんなもんじゃない。ほとんど破裂音みたいな音がしたと思ったら、抑え込んでいた警官も、俺も、みんな血だらけになった。あんな血しぶきを見た人間は、この地球上でも俺たちくらいのもんだろう。

俺は、その瞬間を見逃すまいと、それでも目を凝らしていたつもりだ。それでも、俺は、俺には、見えなかったんだよ。“飛び出てくるはずの何か”がね。それで、俺はすっかり、気力を失っちまったよ。こんな圧倒的で、どうしようもない存在が、今この瞬間だって、俺の背骨の中でひっそりと眠ってるのかもしれないんだ。もう、生きた心地もしないってもんさ。あんただってそうなんだろう?

だって、そうじゃないか。こいつは、間違いない。人間の中に入り込んで、学習しているんだ。ほとんど全部、道具を使って、人を殺している。チェーンソー、フォークリフト、大型ノコギリ、破砕機、ついには拳銃ときている。そのうえ今は、元刑事と弁護士様の頭の中を覗いているわけだ。こいつはそのうち、完全犯罪だってやってのけるかもしれない。方程式だってといてみせるだろう。コンピューターだって使うだろうね。信じられるか?そんな存在が、この地球上にいるということが。俺は、信じたくないんだよ。こんなこと。

俺が知っているのは、この程度だ。力にはなれそうにない。これを知って、逃げ出してしまった男だからね。ただ、警告しておくよ。“やつ”にとって、君が用済みになった時、君は、何の前触れもなく殺されるだろう。あっけないほど無残に、ね。ひょっとしたら、人間の強度を確かめる実験に使ってもらえるかもしれないが、それでも、君は死ぬことになる。もうどちらかの死に方しか残されてないんだ。」

佐々木「いえ、私は、抗ってみせます。」

尾形「抗う術が、あるというのかね?」

佐々木「山守神社に、これを祓ったという伝承が残っています。」

尾形「ああ、東のところか。しかし、神主はあの事件の後、数年後に病死したはずだよ。今あそこを継いでいるのは…たぶん、あの事件の時に、気に入らない顔でにたりと笑っていた、あの青年だろうな。」

佐々木「ご存知なんですか?」

尾形「いや、私もよくは知らない。しかし、いけ好かない男なのは間違いないだろうね。もし、何かわかったら、私にも教えてくれ。今日は久しぶりに、希望を見い出させてくれてありがとう。」

KP「尾形が右手を差し出します。」

佐々木「応じます。」

KP「が、あなたの右腕は上がりません。」

佐々木「左手を出します。」

尾形「なんということだ…。私も、もっと強くあらねばならんな。」

KP「左手で握手に応じてくれます。」

 

 

 

Part.15へつづく

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