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【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.06】

【前回のあらすじ】

気づかぬ間に異常は始まっている。写真には怪しいものが何も写っていない。しかし睡眠中、気づかぬうちに正気度が減っている。この異常事態に、美人アシスタントNPCの望美ちゃんが参戦する。いったい探索者たちの身に何が起ころうとしているのか…。

 

 

その怪異、正体不明につき

KP「さて、翌日の朝です。おはようございます。みなさん、この時点で何かやっておきたいことがありますか?なければ夜の酒宴のイベントまで飛ばしますが。」

伏原「怖いので、仏壇と位牌の怪異について調べたいです。なんなら、他にあの場所でそれを見た人がいないのかも調べたいところ。」

KP「いいですよ。ウェブ使うんですよね?では、〈図書館〉ロールをお願いします。」

〈図書館〉ロール成功

KP「成功ですか、では、次のことがわかりますね。」

 

仏壇と位牌

仏壇や位牌は、ホラーでは死を暗喩する象徴として度々用いられてきた。また、家の中に置かれるという性質から、最も身近な「あの世」との境界として、ホラー作品に利用されることがある。

位牌は、死者の戒名を記したもので、死後の人間の現世における唯一の肉体とも言える。それゆえ、そこに霊魂が宿っているとする怪異譚を中心に、いくつかの怪談が存在する。代表的なものとして、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)によって収集された、長尾とお貞の話がある。

 

KP「あ、小泉八雲は今回無関係です。」

伏原「了解です。」

KP「それから、誰か他に仏壇を見たものがいないか、でしたね。…見当たりませんよ。2chのオカルト板を見ても、そのような報告はありませんね。ホラースポットのまとめサイトを見ても、そうした報告はされていません。」

佐々木「前例がないわけですね…。」

KP「ええ。皆さんが一番、肝がたくましかったんじゃないですか?」

伏原「なんかそんな簡単な話じゃないんだろうな…。」

KP「ちなみに、斎藤くんはそう信じ込んでますよ。」

伏原「斎藤使えねぇな。」

KP「まあNPCですから。それで?他にやっておきたいことはありますか?」

佐々木「土地の伝承を調べたいです。」

KP「なぜですか?」

佐々木「だって気になるから。」

KP「うーん…。この段階では、そいつは無理があるでしょう。だってそれ、最近僕がその辺調べまくっているのを知っているから、食いついてるわけでしょう?」

佐々木「いや、そういうわけでも。」

KP「よく状況を整理してみてください。あなたのキャラクターが有している情報の限りにおいて、何にアクセスすることになるかを考えなければなりません。もしもそちらに答えがあるとプレイヤーが思うなら、そちらにたどり着くためのステップを考案してください。」

佐々木「むむむ…。」

 

 

初心者のためのクトゥルフ神話TRPGプレイング講座

KP「では、ここでちょっと状況を整理してみましょう。こういった内容は、常にメモして、絶えず課題抽出と仮説検証を繰り返すことをお勧めします。」(小さなホワイトボードを取り出す)

KP「まず、佐々木さんがこれまでに仕入れている情報は、以下の数点です。(カキカキ)」

  • 坂上製材所集団発狂事件
  • 発狂事件に怪異の影
  • 製材所跡に仏壇と位牌
  • 突然体が動かなくなる現象
  • 山の上の神社に参拝

 KP「このうち、いま、伏原さんが仏壇と位牌の線から、何かの怪異に辿り着けないかと調査を行いました。しかし、空振りに終わったようですね。(矢印を書き加え、「空振り」と記入)」

伏原「なるほど。」

KP「あ、伏原さんはこれに加えて、モヤのような青白い触手のような何かと、沼の匂いを関連付けて知っていますからね。」

伏原「たしかに、知っていますね。」

KP「さて、問題は、これらの情報のうち、どれが怪異の本質に迫る情報の入り口なのかを見分けることです。たとえば、『かなしばり』ありますよね?」

佐々木「ええ、たしかに。」

KP「これは、怪異そのものだと思いますか?それとも、怪異の『結果』だと思いますか?」

伏原「『結果』でしょうね。そこを追っても、金縛り現象はありふれすぎて、どの怪異か特定するのには使えなさそうです。どちらかといえば、あの場所、坂上製材所について調べれば、他にかなしばりに見舞われた例があったり、金縛りを当然引き起こせる怪異のすがたが見えてくる、という流れのほうがありそうですかね。」

KP「そういうことです。つまり、以下のようなノートを用意できていれば、現状の探索者ノートとしては及第点、ということになります。」

  • 坂上製材所集団発狂事件→詳細調査の必要あり
  • 発狂事件に怪異の影→この実体を解き明かす。後半の目標
  • 製材所跡に仏壇と位牌→ありふれた怪異。空振り
  • 突然体が動かなくなる現象→ありふれた現象。補助的に使用
  • 山の上の神社に参拝→シナリオに絡む可能性大、怪しくなったら調査

佐々木「なるほど。結構頭使うゲームなんですね。」

KP「ええ、そうですよ。情報の整理と仮説検証を通じた問題解決のゲームですから。TRPGは科学ゲームと言ってもいいでしょう。特に、私のシナリオはそうです。もちろん、これらの情報からのロジカルな推論の末に、土地の伝承が重要だと推測しているなら、調査は可能です。その場合、その理由と推論をキーパーに話しましょう。だからこそ、私も、はじめに『なぜですか?』と尋ねたわけです。」

佐々木「私は感覚で生きてますからなぁ。」

KP「でしたら、是非とも、ゲーム内の情報だけを感覚で処理して、判断してみてください。」

 

 

新聞調査:坂上製材所集団発狂事件

佐々木「…それでは、新聞を調べましょうかね。その、坂上製材所集団発狂事件の記事、少しはあるんでしょう?」

KP「いいですね。それが順当な調査というものです。新聞のアーカイブとなると、相応に大きな図書館にしかありませんが。」

佐々木「国会図書館に行きますよ。」

KP「それならあるでしょうね。では、〈図書館〉ロールをお願いします。」

〈図書館〉ロール成功

KP「佐々木さんが国会図書館に赴き、1990年代末の新聞記事を収集し、関連記事をまとめていくと、以下のようなことがわかってきますね。あ、ちなみに、史実としては、1998年8月初旬といえば、和歌山毒入りカレー事件が世間を賑わせていました。事件発生が7月末ですから、まだ逮捕には至っていない頃でしょうかね。食中毒事件と考えられた状態から、毒物による無差別殺人だと明らかになり、一気に紙面の緊張が増したころです。」

佐々木「あったなぁ、そんな事件。」

KP「さて、そんな紙面の一角に、あまりに凄惨で、奇怪な事件だったために、あまり大きく報道されていないながらも、坂上製材所集団発狂事件について、次のような報道がなされていますね。」

 

製材所で集団パニック?

警察発表によると、昨日午後14時頃、埼玉県境町の製材所で、7人が死亡した。遺体の損壊状況から、集団パニックによるものではないかと推測されている。しかし、警察は、工具による死傷とだけ発表し、遺体の詳細な状況は公表を避けた。死亡したのは、同製材所社長の坂上◯◯さん、従業員の・・さん、・・さん、・・さん、・・さん、秩父市の木材加工業△△さん。さらに外国人とみられる身元不明遺体も発見されている。

 

KP「さらに、あなたはあることに気づきますね。」

佐々木「あること?」

KP「ええ。同じ場所をとったはずの現場写真が5枚ありますが、そのうち2枚にだけ、黒々とした枯れ木が写り込んでいます。」

佐々木「2枚にだけ?他の3枚には?」

KP「全く同じところを写しているはずですが、そんなものは写っていませんね。」

佐々木「なんと…。」

 

 

Part.07へつづく

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