【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】肝試しのあと【part.01】
【前回のあらすじ】
男だらけの3バカ珍道中 for 心霊スポット in 埼玉
当日までの準備
KP「では、当日までにやっておきたいことはありますか?」
伏原「懐中電灯と、ロープと、ライターあたりを買います。」
佐々木「サバイバルナイフと、懐中電灯と、あとは衛星電話を。」
KP「衛星電話!?どう考えてもあなたの仕事に必要ないですよね?」
佐々木「そうですか?いや、ほら、ひょっとしたらアンデスの高地で法務処理するかもしれませんし。」
KP「佐々木さん、なんにも外国語習得してないじゃないですか!」
佐々木「ちっ。」
KP「別に携帯が通じない土地ではないですから。現代の日本で、そんな土地があるわけないでしょう?」
佐々木「なら携帯でいいですね。」
伏原「あ、僕もこの間に携帯買いなおしていますから。」
佐々木「何かあったの?」
伏原「このキーパーが遣わした女性に、携帯を破壊されていまして…」
KP「こう(右手の拳を左手に突き立てて)、スタンガンで、ガチャっと、ね。」
佐々木「そりゃひどい。」
KP「他には、何かやっときますか?」
佐々木「図書館に行って、今度向かう場所が何なのか調べます。」
伏原「あ、こっちはネットで。」
KP「では、先に佐々木さんから処理しましょう。〈図書館〉ロールをお願いします。」
〈図書館〉ロール→成功
佐々木「へぇ、こうやるわけね。」
KP「初ロールですもんね。成功おめでとうございます。では、次のことがわかります。」
坂上製材所の放棄
1990年代末、製材所で従業員が発狂して、他の従業員の腕を切り落としたことをきっかけに、集団パニックに発展。社長の通報をうけて警察が駆けつけたときには、すでに全員が死亡しているという怪奇事件が発生した。事件を受けて、この製材所は放棄され、現在では心霊スポットとして物好きたちが夜な夜な足を運んでいる。
佐々木「んー、こりゃ近寄りたくない。」
KP「続いて、伏原さんも〈図書館〉ロールを。」
〈図書館〉ロール→成功
伏原「今日も順調〜っと♪」
KP「では、佐々木さんが得た情報に加えて、次のことがわかります。」
オカルトマニアによる坂上製材所集団発狂事件の評価
この事件には、おかしな点がいくつかある。
まず、集団パニックを生き残った最後の一人が自殺したという点。殺し合いをするのは集団パニックとしてかろうじて起こりうる現象だが、全てが終わったあとに10分も経たずに自殺するのは、どう考えても奇妙である。
また、当時の新聞に「背骨が完全に露出するなど、遺体の損壊が激しく」という記述がある。もしもこれが、背骨が完全に“剥離”していたことを意味するなら、それは人知を超えた存在が介在していたことを意味している。
伏原「つまり、邪神がいますよ、と。」
KP「さあ?どうでしょうね。あくまで『仮説』ですから。」
心霊スポットに向かう
KP「それでは、8月13日の金曜日、夕方の池袋からはじめましょうか。」
佐々木「あ、せっかくだし、電気消さね?」
KP「いいですね。なんなら、tabletop audioでも流しましょうか。」
伏原「ねぇ、僕、怖いの苦手なの忘れてません?」
佐々木「ならなおさら消そう。」
KP「そうしましょう。(Tabletop AudioからTerrorを再生しつつ)」
伏原「あー、これで肝試しの話するんですか?」
KP「これは描写がはかどりますわ、ちょっと全力出させてもらいますね。」
KP「では、斎藤さんに佐々木さんを紹介して、三人で車に乗り、女の子がいないことを嘆きながら、埼玉に向かいます。道中で、斎藤さんは伏原さんが調べた内容まで含めて、楽しそうに語って見せて、雰囲気を演出しますね。なんなら、道中で稲川さんの怪談の録音でも聞いてたことにしましょうか。」
伏原「稲川淳二は本物ですよね。」
佐々木「いいねぇ、そんな雰囲気で三人で盛り上がっていくわけね。」
KP「ちょうどこの部屋と同じ感じになりますね。」
伏原「むさ苦しいですね。」
佐々木「むさ苦しいね。」
KP「ま、気にせずいきましょう。」
KP「明るく賑やかな池袋の街から北上し、車を走らせていると、ひとつ、またひとつと建物の明かりが減っていき、やがて暗闇の中に寂しげに光を垂らす、わずかな街灯の明かりだけが、あなたたちの道中に残されるようになります。その暗く沈んだ道路のうえを、あなたたちの車のヘッドライトが、舐めるように照らしていきます。やがて伏原が見慣れていた秩父市の景色を通り過ぎると、ついに車外は闇の中に埋もれてしまい、よく目を凝らしたとしても、森の木々と、その間に横たわる、ただただ暗い、虚空ばかりが姿を覗かせていることでしょう。」
佐々木「いいねぇ。」
KP「皆さんがすっかり変わってしまった車外の景色に息を飲んでいると、車がゆっくりと減速するのを感じます。」
斎藤「このあたりです。思ったより暗いですね。」車から降ります。
伏原「続きましょう。」
佐々木「俺も。」
KP「車外の空気はやや湿っています。天候はあいにくの曇り空。本来夜道を照らしてくれるはずの月明かりも、今は分厚い雲に阻まれて、薄ぼんやりと木々の輪郭を浮かび上がらせるばかりです。不意に、湿った風がひとつ、森の木々をざわざわっと言わせて、あなたたちの肌を舐め、暗闇の向こうに走り去っていきます。今はその木々のささやきまでもが、あなたたちの不安と恐怖を高めることでしょう。」
伏原「懐中電灯を点けます。」
佐々木「もちろんこっちもつけますよ。」
斎藤「じゃあ、行きましょうか。」
伏原「待って。このロープでお互いを結んでいきましょう。逃げるときは全員一緒、ということで。」
斎藤「伏原さん、やっぱりびびってんすか?」
伏原「最近いろいろあって、用心深い性格になったんだよ。」
佐々木「俺は結びますよ。」
KP「では、斎藤さんも結んだことにしましょう。」
KP「懐中電灯の明かりが三つ、夜闇に投げかけられます。照らされた地面には、落ち葉と枯れ枝が湿っています。ひとたび木々に向かってその光を投じれば、見通すこともかなわない闇の中に、その光は吸い込まれていくことでしょう。しかし、その木々の間にかろうじて、ひとつの人工物の輪郭が覗いています。深い闇の中で、その製材所は、あなたたちを待ち構えています。」
KP「…さあ、進みましょうか。」
伏原「今日眠れなくなったらどうしよう(泣)」
KP「まだまだ、このシナリオの恐怖は、始まったばかりですよ。」