【クトゥルフ神話TRPGリプレイ】アンドロイドは名状しがたき夢を見るか?【part.07】
【前回のあらすじ】
悪夢から目覚めた伏原は、昨日の女性に頼んで猪瀬奈々という伝道師に接触してもらう。
しかし女性は猪瀬の巧みな話術に翻弄され、思うように情報を引き出せない。
そこで伏原は、自ら教団の施設に赴き、情報収集を試みることにしたのだった。
「血の結社」日本支部ー東京都新宿区
KP「雑居ビル群の一角に、そのビルはあります。通りから見ても、西田の爽やかでいて胡散臭い笑顔が大写しになっているポスターによって、宗教組織の建物であることがわかりますね。」
PL「思ったより秘密結社じゃない。」
KP「ええ。ちゃんと届け出もされていて、法人格も所有した宗教法人ですよ。」
PL「ここでは殺されないな。地下室があるなら別だけど。」
KP「では、エントランスから入りますね?」
PL「もちろん。」
KP「左手にカウンターがあって、受付兼事務スペースになっているようです。右手には階段があり、正面には交流ラウンジがあって、左手奥にお手洗い、右手奥と正面にひとつずつ、扉が見えます。」
伏原「とりあえず怪しまれないように受付ですね。入信したいとでもいいましょうか。」
受付「あっ!…はい、わかりました。では、奥の面談室にご案内しますね。」
PL「どうかしたのかな?」
KP「あんた有名人でしょうが。」
PL「いっけね、忘れてた(テヘペロ)」
KP「絶対覚えてただろ。」
KP「さて、この時間は集会が行われているので、猪瀬が来るまでは時間がかかります。」
PL「とりあえず、この部屋にも〈目星〉をしておきます。」
〈目星〉ロール→成功
KP「特にきになるものはありませんね。先日あなたも手に取った西田の宗教書と、例の象の神様をかたどったものと思われる彫像が置かれているくらいです。」
PL「『もったべ』の記憶が、あれを壊せと俺に囁くのだが…」
KP「いえ、その彫像はよく見ればインドのガネーシャの彫像だとわかりますね(本当はロールが必要なんだろうけど、むやみに乱されても困るし)。」
PL「なら壊さないでやろう。」
KP「さて、しばらくして、先ほど喫茶店で見た、可愛らしい女性が現れます。彼女は親しみやすい笑顔で挨拶をすると、名刺を差し出します。」
猪瀬奈々との直接対決
猪瀬「どうもこんにちは。足をお運びいただいてありがとうございます。わたし、『血の結社』で教えを広める仕事をしております、猪瀬奈々と申します。」
伏原「どうも、伏原竜覇と申します。」
猪瀬「本日はどなたかのご紹介でいらっしゃったんでしょうか?」
伏原「ええ、そうですね。わたしの知人の男性が、こちらの宗教にずいぶん熱心に勧誘してくださるもので。今日は少し時間が空いたので、急ですがお邪魔させていただきました。」
猪瀬「そうなんですね。いえ、こうやって自ら足をお運びいただく方は非常に稀ですから。こちらとしても嬉しい限りです。先にそのご友人の名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
伏原「ええ、◯◯くんと言いましてね。」行方不明になった男の名前を伝えます。
シークレットダイス→??
PL「げ、心理学持ちか。こりゃキツイな。こっちも心理学使って押していこう。」
KP「がんばれー(棒)」
猪瀬「彼が伏原さんと知り合いというのは意外ですね。それで、どういったお悩みがあって、こちらにいらっしゃったのでしょうか?」
伏原「いえ、わたしも仕事上、様々な役柄を演じさせられて、少し自分というものがわからなくなってしまって。わたしの中にあったはずの正義も、何か役柄の中の正義と混同していって、わたしが何のためにこの拳を鍛えたのか、最近思い悩んでいるんですよ。そうしたところに、彼がこちらを紹介してくださいましてね。なんでも、夢を操る術を教えてくださるとか。」
PL「〈演技〉を使って心理学をやり過ごすことってできますか?」
KP「ええ、できますよ。」
〈芸術(演技)〉ロール→成功
シークレットダイス→??
猪瀬「華やかなお仕事でもお悩みがあるんですね。たしかに、私たちのところでは、祈りに応えるように、夢を司る神様が、他者に悪夢を見せてくれると信じております。しかし、全ては皆さんの祈りがあってはじめて実現する奇跡のようなものです。それに、因果応報ともいいます。誰かに憎まれ、悪夢を望まれるような人間には、それだけの問題があり、チャウグナー・フォーン様でなくとも、きっと何かの祟りが訪れたに違いありません。」
伏原「逆に、『人を呪わば穴二つ』ともいいますが、そのあたりは心配いらないんでしょうか?最近、彼と連絡が取れなくなったこともあって、少し心配しているのです。」
〈芸術(演技)〉ロール→成功
シークレットダイス→??
猪瀬「ええ、ご安心ください。私たちが直接に呪いをかけるというようなものではありません。もしも神様が、正当な憎しみだとお認めになれば、悪夢を見せることがある、というようなものです。」
PL「失踪した男について全然言及してくれないな。心理学の振りどころがない。」
KP「話術対戦はいつも最高難易度。」
伏原「それでは、彼は『心臓の血液』という儀式で死んだわけではないのですね。」
猪瀬「ええ、もちろん。『心臓の血液』の儀式は、名前こそ恐ろしいものですが、ここ日本では、決して人を殺すことはありませんよ。ナイフのイミテーションを、胸に刺すような動作をして、血液の代わりに使っている液体を神様に捧げる、というような動作を行うだけです。本場の中央アジアの奥地では、未だに本当にこの儀式を行っているところもあると噂されていますが、現代宗教化した地域では、すべてこのイミテーションで代用しています。」
〈心理学〉ロール→??
KP「あなたは猪瀬の『心臓の血液』についての語りに、事実と虚偽が入り混じっている印象を受けますね。」
PL「よし、この儀式は人を殺す。この女はそれを知っている、ということで進めよう。」
KP「誤認は死を招きますよ?」
PL「いや、だって、この人狂信者でしょ?」
KP「さあね、どうでしょうか。潜入捜査官かもしれない。」
PL「ハカセの悪い笑顔は無視することに決めているんで。」
伏原「なるほど、それで安心しました。ところで、この宗教の著作を書かれた西田さんは、今はいらっしゃらないんでしょうか?わたしもいくつか読ませていただいて、非常に感銘を受けたのですが…。」
KPによる〈心理学〉ロール代行→??
猪瀬「ええ、このところ、西田は多忙にしておりまして、本日もあいにく席を外しております。」
KP「西田の名前を出した時、猪瀬は明らかに動揺したようです。その後の返事も、どこか不安とか心配といった感情が見え隠れしていますね。」
PL「まさか…西田も消えてるのか!?」
伏原「猪瀬さん、ひょっとして、いえ、万に一つの可能性なのですが、西田さんとは、連絡が取れていますか?」
KP「ここでストーリーの分かれ目です。〈信用〉ロールをお願いします!」
PL「おい!初期値だぞ!」
〈信用〉ロール→成功
PL「やったぜ!」
KP「これはファインプレイ!」
KP「…では、ためらいがちに、猪瀬は事情を話し始めます。」