TRPGをやりたい!

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【プレイ後雑感】クトゥルフ神話TRPGをプレイしました

これまでにもサンプルシナリオで何度かプレイしているのですが、クトゥルフ神話TRPGをプレイしました。

 

これまでのプレイ履歴は、サンプルシナリオから、「悪霊の家」「屋根裏部屋の怪物」そしてウェブ上で公開されていたシナリオ「毒入りスープ」をプレイしました。

 

 1.問題のあるサンプルシナリオ

それぞれのシナリオの感想を言えば、まず、「屋根裏部屋の怪物」はあんまりいいシナリオではなかったかな、と感じました。

 

シナリオを事前に読み込む時間がなかったのも原因といえば原因なのですが、シナリオが想定しているプレイヤーの動きが一種類だけしかなく、他の行動の可能性を全く想定していないようなところがありました。情報不足から、プレイヤーの方で「本当にこれで突入して大丈夫なの?」という疑問が出てきてしまうほどでした。

おそらくは、突入するまで全ての道具が揃わず、呪文に関するメモも手に入らないという情報のアンバランスが原因かと思います。

 

マスタリング上の失敗としては、ミスカトニック大学図書館でアーミテッジ教授の説得に失敗したと判断された点を挙げることができます。アクセス不可能な情報に過ぎないにもかかわらず、プレイングの失敗が情報不足を招いたと判断されてしまいました。

 

このシナリオをプレイする場合には、事前にサンプルシナリオを読み込んで、言及される人物や場所の全てに対して、いくらか補足的な説明を用意するほか、それらの場所に至るための「情報の尻尾」を配置する必要があるでしょう。

 

2.評価の高いシナリオ

他のシナリオについては、けっこう満足しています。

「悪霊の家」は、ほとんどクトゥルフ神話TRPGというものを知らないプレイヤーにプレイしてもらったので、突入前情報の不足が懸念されるということも特にありませんでした。結局、地下のあいつを処理することはできず、逃走して入院することになってしまいましたが、一応のプレイには耐えられるいいシナリオだったと思います。

 

「毒入りスープ」はたくさんの動画でリプレイを見ることのできる、有名なウェブ上のフリーシナリオです。作者は泥紳士さんです。

これはプレイする前から、かなり信頼度の高いシナリオだと思っていました。そもそもクローズドで物語が展開するため、クトゥルフ特有の情報の出所が分散しすぎたり、プレイヤーが思わぬ行動に出たりするという事態に陥りにくいからです。

これも同じプレイヤーに、同じキャラクターでプレイしてもらいました。結局、「門番」に噛み殺されてしまいましたが、なんにせよ、コンパクトにまとまっていて、気軽に楽しめるいいシナリオだと思います。

 

 

3.クトゥルフ神話TRPGのゲーム性

ここで、「クトゥルフ神話TRPGをゲームとして捉えると、実際のところ、そこまでゲーム性は高くないのではないか」という疑問を呈したいと思います。

 

クトゥルフ神話TRPGは、いつも「巻き込まれ型」でシナリオが開始されます。普通の生活を営んでいた人々が、突然、宇宙的恐怖に巻き込まれてしまうわけです。

 

このことは、クトゥルフ神話というものに多少なり知識のある人にとっては、明確な解決方針のあるゲームとして理解されることでしょう。つまり、特定の邪神や宗教結社がなんらかの問題を引き起こしており、それを阻止するゲームとして理解されるのです。

 

しかし、クトゥルフ神話の知識を持たない人にとっては、目の前で発生する怪異はただの怪異であって、その原因が不明瞭な場合の方が多いのです(実際、ここが不明瞭だからこそ、クトゥルフは面白いのですが)。この場合、TRPGは課題解決型のゲームというよりは、奇妙な事件の中で生き残りを図る、無力な市民に降り注いだ悲劇のドラマのような受け入れられ方をしてしまいます。

 

つまり、「可能な行為」と「課題」がパッケージになって初めて成立する「ゲームという時空間」が、素人にとっては成立しにくいシステム(世界観?)なのです。

この「ゲームという時空間」を成立させるまで、プレイングのためのヒントが不足するのです。

 

 

もう一つの課題としては、「ロール」が曖昧な点を挙げることができます。

「ロール」というのは、「ゲーム上の役割」と訳せる概念です。ソードワールドほど「ロール」が形式化されたゲームに比べれば、その役割はやはり曖昧です。概ね探索担当と交渉担当と、戦闘担当に役割は分かれますが、そうした役割の存在は素人には判別しにくいものです。

素人の場合、むしろ、職業上の特徴や趣味、人格などにフォーカスした、「キャラクター」とか「配役」という意味での『ロール』に目がいってしまいます。しかし、そうした意味での『ロール』は、「ゲーム性」とは完全に切り離されています。こちらに執着すればするだけ、「ゲームという時空間」からは離れてしまうのです。

 

このあたりのことはもう少し整理して、TRPGのゲーム性問題としてきちんと文章にまとめようと思います。