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【うろ覚えSWノベル】山賊退治ミッション:4(復讐)

カイトの部屋を訪ねたのは、タビットだった。

「なんだ、冒険者さんか。」

扉を開いたカイトは、唯一理解がありそうなこのタビットの冒険者ラビットの訪問を歓迎した。カイトとタツが泊まる部屋は、冒険者たちの部屋に比べると随分と小さく、人がやっとすれ違えるだけのスペースを挟んで、二つのベッドが置いてある簡素な部屋だった。

「ちょっと話があってね。」

声帯が小さいのか、人間に比べればいくらか高い声でラビットが言う。

「さっき随分苛立っていたようだけど、何か事情でもあるのかい?」

どうやらラビットだけは、カイトの振る舞いに理由があることを見抜いたようだった。カイトとタツは揃って一方のベッドに座り、反対のベッドにラビットが腰を下ろす。

「奴ら山賊は、俺の親父を殺りやがったんだ。」

カイトが歯を食いしばって言う。

「カイトの父親は自警団の団長でした。村で一番武術の心得がありましたので、山賊程度では彼が死ぬことはないと誰もが信じていたのです。しかし・・・」

タツが言い淀むと、カイトが引き受けて言う。

「何か考えられないような化け物が現れたんだ。そいつの力は他のコボルドやゴブリンとは比にならないものだった。俺がコボルドを斬り、ゴブリンと戦っていた時、確かに親父が斜面を駆け上っていくのを見た。その先、木と岩でよく見えないところで、そいつが現れたみたいなんだ。」

「みたい、というのは、君は見てないってことかい?」

ラビットが落ち着いた調子で尋ねる。

「ああ。俺は見てはいない。始めに親父がやられて、浮き足立ったところで、奴の姿を見た仲間が次々と斬られた。俺がやっとのことでゴブリンを斬り捨てた時、奥の方から仲間たちが逃げろと叫びながら駆けてきた。そのとき、遠くの方から何か重たい叫び声が聞こえて、俺は、・・・俺は・・・」

タツがカイトの肩を叩く。カイトの父親が殺されたことは、彼一人ではなく、村の皆にとって、耐え難い損失だったのだろう。消沈した空気の中で、ラビットは質問を続けた。

「相手の使っている武器は?」

冒険者として、ラビットは冷静だった。その冷静さは、カイトからの信頼を得るのには十分すぎるほどだった。

「一撃で人を斬りとばすんだ。・・・あれは斧だと俺は思う。普通の人間じゃあ敵わない腕力の蛮族だ。」

カイトは握り合わせた両手の隙間から床を見つめて、つぶやくように言った。

「俺だってわかってるんだ。俺一人じゃああいつには敵わないってことくらい。」

ラビットは鼻で一つ息をする。

「任せておけ。冒険者の強さってもんを見せてやるよ。」

顔を上げたカイトの前には、不敵な笑みで握手を求めるラビットの姿があった。

「他の冒険者はいけ好かないが、あんたは信頼できそうだ。よろしく頼むよ。」

カイトは堪えていた涙をこぼさないように、不器用に笑いながら握手に応えた。

 

部屋を後にしたラビットは、しかし、頭を悩まされていた。ただの山賊退治ではない。正体のわからない強力な蛮族の存在。安請け合いしてしまったが、これは本当に割りに合わない仕事かもしれない。

いずれにしても、引き受けた以上やるしかない。今のうちによく眠っておこう。

ラビットは困難を予感しつつ、眠りにつくのだった。

 

 

つづく