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【うろ覚えSWノベル】山賊退治ミッション:2(依頼)

貧しそうな形(なり)をした男は、タツと名乗った。妙に腰の低い男で、手をもみながら、しきりに頭を下げている。

「ほんとうに、たくさんの報酬は用意できないのですが・・・」

そんなことはどうでもいい。キリトは苛立つ心をようやく抑えていた。そんなことは身なりを見れば明らかだったし、報酬の高低は結局のところ依頼の内容にもよる。簡単な依頼なら、報酬など安くて何の問題もない。

「とにかく用件を聞こうじゃないか。」

いかにも熟練の冒険者であるかのように、キリトは余裕をのぞかせた。実際には、依頼を聞くのはこれが初めてのことだったのだが。

一緒に話を聞くじいさんは、口を開くことなく、キリトのやりたいようにやらせていた。

 

「へぇ。先日、わたしらの村の近く、トーチの村が蛮族に強襲されまして、村は手酷い被害を受けたという知らせが、あっしらの村、キビーに届いたんです。しかも、蛮族たちはトーチとキビーの間をつなぐ山道沿いのどこかにアジトを構え、次はあっしらの村を攻撃する構えだということもわかりました。

あっしらも農民とはいえ、多少の戦いの心得を持った者もいます。この後ろにおります、カイトをはじめ、そうした者達を集めて、自警団を組織しまして、先日この蛮族の討伐に向かったのです。しかし・・・」

タツは少し言葉を続けて発するのを躊躇ったようだった。つまりは討伐に失敗したのだろう。そして、冒険者を頼ってルテティアまで訪れた、という事情に違いない。

 

いかづち亭のマスターが声をかけたのか、店に居合わせた他の二人の冒険者も、話に加わってきた。

「山賊退治の仕事があるんだって?」

好奇心に目を輝かせながら、タビットがよじ登ったカウンター席からキリトとタツ達を代わる代わるに見つめる。

「ここは経験者である俺とじいさんがお守りをしてあげたほうがいいだろうな。」

もう一人のおっさんもそう言って加わってくる。安い報酬が一層安くなってしまう。キリトは歯ぎしりさせられた。蛮族くらいなら、俺一人で討伐してみせるのに。

 

「ありがとうございやす。それで、もちろん敵にも打撃を与えたはずですから、敵も体制が整うまでは時間がかかるはずです。それまでにキビーの村に帰り、村の防衛線を整えるか、もっといいのは、やつらのアジトを叩いてほしいのです。」

 

「山賊退治か。・・・引き受けてもいいんだが。」

キリトは他の冒険者の顔を伺うことすらせず、単刀直入に尋ねた。

「いくら出せるんだ?」

この言葉に、タツの後ろに控えていたカイトとかいう男が、キリトを強く睨みつけ、苛立ちを露わにした。しかし、キリトはそんなこと歯牙にもかけない。

「へぇ。本当に少ないのですが、四人にお願いするとなると、一人当たり350ガメルほどで手一杯です。お引き受けいただけ・・・」

「400は欲しいな。」

キリトは言葉を遮って応じた。

「お前らの村人が全滅するかもしれないっていうのに、それっぽっちしか出さないのか?まだまだ金になるものがあるはずだろう?」

キリトは表情ひとつ変えずに言う。黙って聞いていたタビットが驚いたように声をあげる。

「まぁまぁ、いいじゃない。350で引き受けてあげようよ!」

しかし他の冒険者たちは、どうやらキリトの味方のようだった。

「そうだな、もう少し欲しいな。」

「俺を誰だと思ってやがるんだか。」

投げかけられる言葉にタツはすっかり萎縮してしまう。

「宿代や、キビーでの食事代などはこちらでもたせていただきますから、どうか、350でお引き受け願えませんでしょうか?」

タツが重ねて頼んでも、タビットを除く冒険者の態度は変わらない。その様子を黙って見ていたカイトが、突然怒声を発した。

 

 

つづく