TRPGをやりたい!

電源・非電源ゲーム全般の紹介・考察ブログ

【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−9】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

やめて! 拘束された少女の狂気感応でポルターガイストを動かされたら、闇の厨二心で女の子に執着してるカシウスの精神まで燃え尽きちゃう! お願い、死なないでカシウス! あんたが今ここで倒れたら、アークやノイとの約束はどうなっちゃうの? HPはまだ残ってる。ここを耐えれば、女の子を助けられるんだから!

次回、「カシウス死す」。デュエルスタンバイ!

 

GM:って予告するべきですかね

カシウス:GMが悪ノリするなって!

 

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罪深いシナリオ“クリア”の話【クトゥルフ神話TRPG】

シナリオを書いていたり、キーパーをやっていると、シナリオにグッドエンドとかバッドエンドとか、クリアとかいう概念が出てくることがしばしばあります。特にノベル型シナリオやクローズドルームズ型シナリオにはこうした概念が含まれていて、半ば当然の存在として受容されています。

しかし、シナリオ“クリア”とかグッドエンドといった考え方を前提にすると、プレイヤーに思わぬ不愉快を与えてしまい兼ねません。今日はシナリオ“クリア”を前提にしてしまいがちな、ノベル型・クローズドルームズ型シナリオについて、どういう風に考えるとよいのかを整理してみます。

 

  • シナリオ“クリア”という不思議
    • ルールブックに見るシナリオ
    • サンプルシナリオの結末
    • 小結:ルールブックにも目標達成の有無はある
  • シナリオ目標が生み出す“クリア”
    • クローズドルームズ型シナリオの目標
      • 目標達成と失敗
      • オチとして死亡や発狂を足す
    • ノベル型シナリオの目標
      • 目標達成と失敗
      • 〈物語的幸福〉と情報量
  • 一回性のゲームで“クリア”はツラい
    • “クリア”が導く“良いプレイヤー/悪いプレイヤー”
    • “クリア”は本質的に言い訳ではないだろうか
  • シナリオから“クリア”を取り払う
    • ルールブックに立ち返る
      • 「死者のストンプ」の例
      • あえて改悪すると見えてくる
    • クローズドルームズ型の目標を変える
      • シナリオ目標非達成=脱出失敗=死亡はやりすぎ
      • シナリオ目標を脱出と切り離す
  • まとめ:非達成が許容できる作り
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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−8】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

謎の幽霊たちに誘われた先には、拘束された少女がいた。幽霊たちは仲間になれと囁くが、アークたちは少女の拘束を解くことにする。浮き上がった家財が飛びかかってくる中、レイラの不在に気づくも、扉は謎の霊力で閉ざされてしまった。冒険者たちの戦いが始まる。

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クトゥルフ神話TRPG的な意味で「物語」ってなんだろうか?

こういう記事は久しぶりに書きますが、書かなかった時期に得たことを飲み込めてきたのでぽつぽつと。

 

さて、このブログではストーリーテリングの技法をシナリオに活用することを考えてきました。というのは、TRPGで物語を体験する可能性を追求するという目標があったからです。しかしこのとき、「物語」の定義が曖昧だったことを見過ごしてきました。

 

ナラトロジー(物語論)では、ある「筋」に従って要約できる統一性のある表現というような形で「物語」を定義します。実際このブログで主張してきた「探索空間理論」でもこの定義は継承されていました。探索空間が「物語的に見て意味のある探索者の行動を促す条件」と定義されたのは、結果的に「ひとつの筋に従って意味のある構造」としてセッションを振り返ることができることを重視した結果でした。

 

しかし、こうしたナラトロジーによる「物語」の定義を前提とすることは、クトゥルフ神話TRPGにおける「物語」の定義との間に反故を生じかねません。もちろん、クトゥルフ神話TRPGが「物語」の定義をしている訳ではありませんが、ゲームシステム上前提とされる「物語」のあり方が存在している可能性は十分にあります。

 

というわけで、本日はクトゥルフ神話TRPG的「物語」の意味について考えてみます。

 

  • クトゥルフ神話的物語≠クトゥルフ神話TRPG的物語
    • クトゥルフ神話的物語はあくまで小説
    • クトゥルフ神話TRPGは課題克服ゲームと認識できる
  • ゲームとして判定を楽しむ
    • 「抵抗」がプレイヤーを存在させる
    • 補論:「抵抗」しない物語
    • 非存在状態はストレス
  • 「抵抗」が作る物語
    • プレイヤーには「抵抗」させよ
    • “ドタバタ”の克服
    • 補足:戦闘という連続判定
  • クトゥルフ神話TRPGの前提する「物語」
    • “ドタバタ”の理由
    • 意外な失敗
    • 戦闘は必須なの?
  • まとめ:物語の盛り上がりに“ドタバタ”を重ねる

 

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−7】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

地下への隠し階段を見つけた冒険者たちだったが、冒険者たちの様子を観察する人形の存在に気づき、物音がした2階に駆け上がった。しかしこのところ精神的に乱れていたレイラは屋敷の中に見覚えのある女性の姿を見て、魅了されたように一人歩き出してしまう。

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クトゥルフ神話TRPGシナリオ「廃鉱山の村で」の販売を開始しました

ねずぷろから離脱して自分でチームを抱えて作業するようになって8ヶ月がたちましたが、ようやくシナリオの自主販売にたどり着きました。BOOTHに自らのショップを構え、昨日同人販売がスタートしました。

 

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本日は新たに発売されたシナリオの内容について紹介しつつ、編集後記的にいろいろと裏話をしていきます。

 

  • シナリオ1本を収録
    • 廃鉱山の村が舞台
    • オープンかつ誘導線を組み込む
  • 裏話1:珍しく色がないシナリオ
    • シナリオの味付けは「プレイしたい」を生み出す
    • シナリオの脱色をあえて試みる
  • 裏話2:味付けしたらどうなるの?
    • メンバー内で出た味付けの話題
    • シナリオ作者なんて見えない方がいい
  • まとめ:皆さんなりの楽しみ方をしてください

 

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−6】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

狂気に陥った人を治療すると、館の中でポルターガイストが発生していることがわかった。しかしどうやら事情はそれだけではないようだ。魔女のマグダレーナ以外にもあの館に住んでいるらしく、教会の助けを借りないとか、みんながそれを黙っているとかで、何やらわけありのようだ。朝食を済ませた冒険者たちは幽霊屋敷へと向かうのだった。

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−5】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

神経質そうで気も狂っていそうな大金持ちのモーリスは「あの館に残っているあらゆる忌まわしきものを消し去れ」と強調した。依頼を引き受けた冒険者たちは、一晩休んだ後、仕事に取り掛かることにするのだが、その言葉はどこかにひっかかっていた。

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−4】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

新しい武器を受け取ったコーラルは、そこで仕事についての耳寄りな情報を得る。なんでも魔術師の老婆が奇妙な実験をやったのではないかと怪しまれているそうだ。長城と凍土で蛮族を防いでいる北レシトリアにとって、内地でのアンデッドの発生は大変な事態だ。なぜか動かない教会に変わってこの仕事を引き受けることにした。

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Heroes of Hammerwatchに大幅改変アプデがやってきました

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去る7月12日、Heroes of Hammerwatchが大幅アップデートを行い、ver.79で大きく仕様が変更になりました。

 

クラスの種類とゲームシステムはもちろんそのままなのですが、各クラスのスキル構成が大きく変更され、バランス調整とキャラクタービルドの幅が大胆に変更されています。

 

ここでは英語で公開されているバージョンアップの情報を参照しつつ、ver.79以降のHeroes of Hammerwatchのスキル構成を見ていきます。

 

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−3】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

サラーが北レシトリアに現れた。しかし何か自分の用事を持っているようで、冒険者の宿には滞在しないようだ。一緒に仕事することは叶わないだろう。元気を取り戻しつつあるアークと自らの存在意義に悩むレイラという大局的な二人は、サラーの言葉に何を思うのか。

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【ソード・ワールド2.0リプレイ】悪霊使いの家【英雄志望と二つの剣3rd season 2−2】

<前回 第1シーズン第2シーズンレイラ個別3−13−2

 

前回のあらすじ

様子のおかしくなってしまったレイチェルのもとに見舞いに訪れたカシウスとクキバミ。事の真相や思惑を理解したクキバミは彼なりの思惑を匂わせる。一方、魔剣の責任をアークに結びつけるカシウスは、自らの非力さを嘆くが、クキバミはその優しさこそがお前の力だと呼びかける。

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