【ゼロから始めるゲーム作り〜TRPG編〜】第7回 ゲームの多重化とその弊害の処理
役割を作るために利用されている大きく二つのシステムを紹介しました。判定ひとつひとつを選択するスキル制と、幾つかの判定を束ねたクラスを選択するクラス制に大別され、それぞれに利点と欠点があることが整理されました。
その最後に予告したのが、ゲームの多重化について扱うという話でした。
そもそもゲームの多重化とはどういうことでしょうか? 一般的に表現すれば、キャラクターがもつ役割がゲームの途中で変化するような現象が発生するとき、ゲームが多重化されているとみなします。これはゲーム内に複数の〈ゲーム〉が配置されていることを意味しており、従ってゲームそれ自体が多重化されているとみなします。
何を言っているのかよく伝わらないと思うので、丁寧に論じていきましょう。
- ゲームと〈ゲーム〉の呼び分けについて
- シーンの切り替えはゲームの多重化ではない
- 〈ゲーム〉が変わるとき
- いい多重化と悪い多重化
- 必ず参加できなければ多重化は失敗
- 多重化は情報量が増えるという弊害を持つ
- 多重化の弊害を把握しておく
- 情報量を管理した多重化の基本
- まとめ:多重化と同時にメインの〈ゲーム〉を決めよう
- 次回へ向けて
今週のプレイレポート(2017年5月第1週)
今週はゴールデンウィークということもありセッションスケジュールの調整ができずにセッションは非常に少ない1週間となりました。
今週のセッション出席
今週はなんと日曜日に「英雄志望と二つの剣」のセッションを進めたきり、セッションをすることができませんでした。「英雄志望と二つの剣」第2シーズン第5シナリオは、それまでの重たい雰囲気を払拭して軽い気持ちで楽しめるシナリオにしたので、気軽に遊ぶことができているように思います。
しかしなんと参加者たちのスケジュールの都合で英雄志望セッションはこれから2週間お休みです。とはいえリプレイの方はこれからも週2で続きます。カシウス君の珍道中がしばらく続きますがどうぞよろしくお願いします。
その他のゲーム
ボードゲーム
GWで兄弟の家に行き、姪っ子とキャラクターもののボードゲームで遊んだのですが、まだ幼い姪っ子にはルールが難しいように感じました。キャラクターのターゲット年齢とゲームシステムの対象年齢が一致しているというのも大切なことなのではないかという気付きのきっかけとなりました。ちょっと子供向けゲームについても考えを巡らせてみたくなりました。
Cゲーム
このところタワーディフェンスゲームを遊んでいましたが、ロボクラモードに帰ってきました。新しい機体を作ったので、動画を収録してお届けする予定です。タワーディフェンスについてもこの期間中遊んだものをはちょっとした動画を作ろうかと思います。
システム勉強
毎週ここに来て思い出させられますが、D&Dのルール勉強するんだった!!
というわけでセッションがお休みの本日はD&Dの勉強をしようと思います。
原稿作業について
今週はタワーディフェンスRPG「我ら王国防衛隊」をデザインしました。今週はブログ更新も毎日行うことに久しぶりに成功しまして、ブログモードへの本格的なシフトチェンジに成功したかなという印象です。
これからもこういう調子でたくさんの記事をお届けできたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いします。
その他作業について
今週のその他の作業としては、RPGツクールのマップ関係の作業を開始しました。これもまたノウハウがありそうな気がしてきたので、整理できれば「ゼロから始めるゲーム作り」シリーズでお届けしようと思います。とはいえCRPGの話にまで話が進むのは相当後になってしまう気もするのですが、いいところでTRPG編からブレイクしてCRPG編を挟もうと思います。
タワーディフェンスRPG「我ら王国防衛隊」がリリースされました!
みなさんこんにちは、iPhoneは未だに4S、早瀬コウです。
このところゲーム製作についての記事をひたすら公開しておりましたが、このたびひとつめのゲームを公開してみることにしました。早速お見せしましょう。
ドン!
今日はこのゲームの凄さを自慢しまくります!(潔い)
- 1ページTRPG「我ら王国防衛隊」はここがすごい
- がっつりゲームとして遊べる?
- 難易度調節システム
- キャラクター成長システム
- 判定とお助けのトレードオフによる意思決定
- 本当に汎用ルールなの?
- シナリオテーブル
- やっぱりファンタジーじゃん?
- ロールプレイでも盛り上がっちゃおう
- シナリオテーブル3段階が作りだす物語
- がっつりゲームとして遊べる?
- タワーディフェンスRPG「我ら王国防衛隊」まとめ
【ゼロから始めるゲーム作り〜TRPG編〜】第6回 クラス制とメタ役割による役割形成
前回、スキル制による役割形成の長所と短所を整理しておきました。
今回はスキル制とは別のシステムであるクラス制について整理していきます。クラス制とは、次のようなシステムをいいます。
クラス制
ひとつのクラスを習得あるいはクラスへ配点することで、複数の判定に等しくボーナスを獲得することができるようなシステム。キャラクターはひとつまたは複数のクラスを習得した存在として役割化される。
クラス制では通常、判定単位の役割とは別の「メタ役割」を作り出します。プレイヤーたちは判定の網羅性よりメタ役割の網羅性を意識することになります。こうした性質について、詳しく解説していきます。
- クラス制の理念
- 特徴1:役割分担の簡易化と検討候補の縮小
- 特徴2:活躍機会設定が容易に
- クラス制の条件となるメタ役割
- 無関係な判定を束ねた解釈困難なクラス
- 役割とメタ役割
- メタ役割の技法:判定役割の重複による誘導
- メタ役割の技法:部分重複による協力の誘導
- クラス制が失ったもの
- 判定指示の不明瞭化
- クラス名称の説明が必要に
- キャラクターのデータ的差別化が難しくなる
- 今回のまとめ
【ゼロから始めるゲームづくり〜TRPG編〜】第5回 スキル制と役割形成
キャラクターメイクにおいて役割を作り出す工夫のひとつに、スキル制というものがあります。今日はスキル制による役割形成の理念を勉強してみましょう。
そもそもスキル制とは次のものを指します。
スキル制
実施される判定ひとつひとつに対応する「スキル」を設置し、キャラクターはこれを習得あるいはこれに配点することで成功確率を上昇させることができるような、キャラクター役割の形成システム。
典型的なものはクトゥルフ神話TRPGで、説得判定の成功率を左右するためには〈スキル:説得〉に配点する必要があります。これに類する構造をもつ役割形成システムをスキル制と呼びます。
- スキル制のシステム設計
- 単純スキル制
- 合算スキル制
- 波及スキル制
- スキル制の長短
- スキル制の長所
- 判定指示の明快性
- キャラクター能力の伝達可能性
- 個性のデータ的表現が可能
- スキル制の短所
- 役割分担意識の希薄化
- スキル検討候補数の肥大化
- 活躍機会設定の困難さ
- スキル制の長所
- 今日のまとめ
逆にとても難しいシナリオの書き方を紹介してみる企画1【クトゥルフ神話TRPG】
簡単なシナリオの書き方を利用して生まれるシナリオは、そんなに面白くありません。当然です。努力もなしに結果だけを要求するのは愚か者のすることです。面白いシナリオが書きたいなら努力してください。
そこで面白いシナリオにするために何を考えなければならないのかをものすごく長い時間をかけて一つ一つ取り上げてお伝えします。面白いシナリオを書きたいという方は簡単な書き方とかではなく、こちらの方を参照してください。
とはいえ、初めに注意があります。僕のシナリオも一つ書くたび勉強させられていますので、毎回全然違うコンセプトやらメソッドやらが利用されていまして、はっきりいってこれといって定まった方法があるわけではありません。面白いシナリオを書きたかったら、自分で自分に新しい課題を課して、それを解決する方法を模索して、実際に機能するかを確かめて、ひたすらそうやって改善してください。
という注意が済んだところで、始めて参りましょう。
- 破滅から始まるシナリオライティング
- 探索者を殺すことを想像しよう
- なぜ開始直後に殺せない(殺さない)のかを考えよう
- 難易度概念が異なるシナリオについて
- 目標を物語作りにおいたシナリオ
- ヒロイックストーリーとしてのシナリオ
- 探索者を殺せる圧倒的な力
- 神格を選ぶ:イメージ通りの死に様のために
- クライマックスには神格も奉仕種族もマシマシで
- 次回へ向けて心構え
【ゼロから始めるゲーム作り〜TRPG編〜】第4回 判定数値の分解
今回は役割分担についてさらに議論を深めるといったな……あれは嘘だ。
うわぁぁぁぁぁ!
役割分担について議論を深めるためにも、まずは判定について議論を深める必要があるのではないかと考えた次第です。というのも、TRPGでプレイヤーがゲームに介入する最も基本的な方法が「判定」だからです。どんなデータを用意していても、そのデータが判定に利用されなければ、データの存在意義はありません。
今日は判定に利用される数値を大きく三つに分類することで、ダイス判定の構造への理解を深めようと思います。
- ダイス判定を作り出す4つの値
- システム値
- ランダム値
- キャラクター値
- タクティカル値
- 様々な判定の設計
- D&DにおけるイニシアチブとDX3rdにおけるイニシアチブ
- ダイスの個数でさえもシステム値でない場合がある
- 判定に見る役割の複層性
今週のプレイレポート(2017年4月第4週)
今週はセッション控えめの1週間でした。
今週のセッション出席
23日日曜日には毎週恒例の「英雄志望と二つの剣」のセッションを行いました。今週の進行はシーズン2の第5シナリオのオープニングでした。第2シーズンの山場を抜けたので、ようやく肩の荷がおりたところの1シナリオです。今日もセッションを行う予定でして、これからの進行も楽しみです。
なお次回水曜日のリプレイ更新はカシウスのソロシナリオをお送りする予定です。序盤から噂されていたカシウスの過去の事件にフォーカスしたカシウス大活躍セッションです。女難の相はここから生まれた!
24日月曜日は先週の続きで「肝試しのあと」をプレイし、セッション終了までたどり着きました。探索者1名がロスト、残り1名は不定の狂気で探索終了でした。クトゥルフっぽい終わりだったので概ね満足なのですが、ちょっとシナリオとしては記述不足を感じたセッションでした。5月中にはもう少し遊びやすく整理し直してみようかと思います。
そんなこんなで、もとは火曜日にもこのセッションを続けるつもりでしたが、まさかの途中退却によりスケジュールが空いたため、自作システムのテストプレイをお願いしてみました。
現在このブログでは「ゼロから始めるゲームづくり」という連載をしていますが、これは第1回で書いているように、「僕が経験ゼロの人向けに解説する」という記事ではなく、「僕自身がゼロからゲームづくりするので勉強したことを書き残しておく」というシリーズです。そういったわけで、初めて挑戦したのはいわゆる「1ページTRPG」の製作でした。現在細かいデータ面の調整を続けておりまして、もうすぐみなさんのところにもお届けできるかと思います。お楽しみに!
それからはセッションがない日々を送りまして、結果として次のセッションになったのは土曜日でした。土曜日には伏原さんと「やさしい狂気のはじめ方Vol.4」掲載予定シナリオで遊んでみました。先週書き上がってから調整期間に入っていたものですが、思ったよりもどうしようもない不条理でシュールな何かに仕上がっていたので、これはこれで面白いじゃないかと感じました。個人的にはシナリオの扉絵がお気に入りなんですが、いったいどんな表紙なのかはご購入後のお楽しみです。
その他のゲーム
ボードゲーム
伏原さんとセッションした際に、ついでという感じでいくつかの1ページTRPGを遊んでみました。それぞれに個性ある作品で、なかなかにロールプレイ力が問われる時間になりましたが、会話に小さな彩りを添えるという意味ではこうしたものも悪くないものだと感じた次第でした。自分の作っているものもこうやって受け入れられるといいのですが……
Cゲーム
今週はブラウザゲーのタワーディフェンスゲームを遊んでいました。あとはひっさしぶりにロボクラフトの動画も投稿しておいたので、ご興味あればどうぞ。
【実況】Robocraftをやりたい!【Part.4】 by 早瀬 鴻(はかせ) 実況プレイ動画/動画 - ニコニコ動画
システム勉強
「トーキョーN◎VA」買いました。トランプを使った判定システムのあたりと初めの方をいくらか読んで、ふんふん言っていましたが、このゲームの世界観とセッションは非常に僕好みのものになりそうな気がします。遊べるのは次の新システムお試し予定である7月になると思いますが、その頃には記事も用意してみようと思います。
原稿作業について
今週の原稿は主に1ページTRPGのシステムとレベルデザインに費やされました。とはいえ未だに迷っていて、高確率でクリアできる仕様と、ゲームとしてクリア自体が難しい仕様と、どちらにしようか悩んでいるところです。いったい1ページTRPGに求められていることとはなんなのか……
その他作業について
ツクールに直接データを打ち込んでいるとめんどくさいなと思い始め、結局エクセルでデータ一覧を事前作成することにしました。結果として非常に扱いやすくデータを入力できています。たしかエクセルからツクールにデータを移せたような記憶があるのですが……その辺はまた勉強が必要そう。
というような1週間でした。
今週は定期的に発生する帯状疱疹に悩まされたりもしましたが、作業としてはたくさんのことをできた週のような気がします。さて5月も頑張ろう
【ゼロから始めるゲーム作り】第3回 役割の種類数とプレイヤーの人数
前回非常にコンパクトなゲームを作ってみましたが、あのままではまだまだたくさんの問題があります。どの問題から解決しようかと考えてみても、問題が多すぎて困るほどです。
今回は前回製作した最小のゲームに言及しつつ、「ゲームが要求する役割の数」と「プレイヤーの人数」の関係が生み出す「ゲーム性」について整理しておこうと思います。
- 役割の数とゲーム性の変化
- 役割数=プレイヤー人数が生み出すゲーム
- 役割数<プレイヤー人数のとき
- 小結:役割数≦プレイヤー人数 のときに求められる工夫
- 役割の数がプレイヤー人数より多いゲーム
- すべての役割を網羅できない
- 戦略を誘導するステータス設定
- 小結:役割数>プレイヤー人数 のときに求められる工夫
- 今回のまとめと次回予告